映画『犬ヶ島』ネタバレ感想。日本文化への愛情たっぷりのストップモーションアニメ!

犬ヶ島

愛してやまないウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』を遅ればせながらレビューさせていただきます。

 

映画『犬ヶ島』の作品情報

 

【公開】
2018年(アメリカ映画)

【原案・脚本・監督】
ウェス・アンダーソン

【キャスト】
コーユー・ランキン、リーブ・シュレイバー、ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ボブ・バラバン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソン、F・マーレイ・エイブラハム、ティルダ・スウィントン、野村訓市、高山明、伊藤晃、オノ・ヨーコ、グレタ・ガーウィグ、村上虹郎、フランシス・マクドーマンド、野田洋次郎、渡辺謙、夏木マリ、ハーベイ・カイテル、フィッシャー・スティーブンス、コートニー・B・バンス、フランク・ウッド

【上演時間】
101分

 

 

映画『犬ヶ島』のあらすじ

 

今から20年後の日本。メガ崎市ではドッグ病が蔓延し、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放すると宣言する。
数か月後、犬ヶ島では、怒りと悲しみと空腹を抱えた犬たちがさまよっていた。その中に、ひときわ大きな5匹のグループがいる。かつては快適な家の中で飼われていたレックス、22本のドッグフードのCMに出演したキング、高校野球で最強チームのマスコットだったボス、健康管理に気を使ってくれる飼い主の愛犬だったデュークだ。そんな元ペットの4匹に、強く生きろと喝を入れるのが、ノラ犬だったチーフだ。
ある時、一人の少年が小型飛行機で島に降り立つ。彼の名はアタリ、護衛犬だったスポッツを捜しに来た小林市長の養子だ。事故で両親を亡くしてひとりぼっちになり、遠縁の小林市長に引き取られた12歳のアタリにとって、スポッツだけが心を許せる親友だった。
スポッツは鍵のかかったオリから出られずに死んでしまったと思われたが、それは“犬”違いだった。何としてもスポッツを救い出すと決意するアタリに感動したレックスは、伝説の予言犬ジュピターとオラクルを訪ねて、教えを請おうと提案する。
一方、メガ崎市では、小林政権を批判し、ドッグ病の治療薬を研究していた渡辺教授が軟禁される。メガ崎高校新聞部のヒロシ編集員と留学生のウォーカーは、背後に潜む陰謀をかぎつけ調査を始める。
アタリと5匹は、予言犬の「旅を続けよ」という言葉に従うが、思わぬアクシデントから、アタリとチーフが仲間からはぐれてしまう。少しずつ心を通い合わせ始める一人と一匹に、さらなる冒険が待っていた─。

映画『犬ヶ島』の評価

第68回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映、そのコンペティション部門で銀熊賞(監督賞)を受賞しています。

 

 

ウェス・アンダーソン監督の経歴

 

1969年5月1日にアメリカのテキサス州ヒューストン生まれ。

1996年『アンソニーのハッピー・モーテル』で、長編映画監督デビュー。

1998年『天才マックスの世界』で、インディペンデント・スピリット賞監督賞を受賞。

2001年『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で、アカデミー賞脚本賞にノミネート。

2004年『ライフ・アクアティック』を監督。

2007年『ダージリン急行』を監督。

2009年『ファンタスティック Mr. FOX』で、アカデミー賞長編アニメ賞にノミネート。

2012年『ムーンライズ・キングダム』で、アカデミー賞脚本賞、ゴールデン・グローブ賞作品賞にノミネート。

2014年『グランド・ブダペスト・ホテル』で、アカデミー賞9部門にノミネート、ゴールデン・グローブ賞作品賞、ベルリン国際映画祭審査員特別賞など数々の映画賞を受賞。

 

映画『犬ヶ島』の感想

 

もうね。ぼくはこのウェス・アンダーソンという映像作家の創り出す世界がたまらなく好きなんですよ。

シンメトリーな構図、水平方向への移動を多用したカメラワーク、緻密な色彩感覚などウェスの箱庭的な映画世界を特徴付けるポイントはいくつもあります。

ただ、これほどまで確立された作風を持ったクリエイターはそうはいません。

とにかくチャーミングでおしゃれで、永遠に見ていたい!!そんな風に思わせられる作品の数々です。

ただ、そのあまりに独創的な作風が故に、かなり人を選ぶタイプの映画だというのも事実です。

 

そんな中、前作『グランドブダペストホテル』はウェス・アンダーソンのフィルモグラフィーの中でも屈指の傑作です。

『グランドブダペストホテル』という作品は、サスペンス・アクション・ラブストーリーというわかりやすい要素を取り入れ、作品を通しての軸(目的)がはっきりとしていました。また、結末の悲劇性や根底にあるメッセージ性など物語の本質的な強さを持った作品でもありました。

その上で元々の持ち味である緻密な画作りやユーモラスだけど哀愁のあるキャラクターの造形はこれまで以上に磨きがかかり、全体的な作品の“質”、エンターテイメントとしての“面白さ”という観点では他の作品よりも一歩抜けていると思います。

ウェス・アンダーソン作品で“まず観るべき”と自信を持っておすすめできるのは、やっぱり『グランドブダペストホテル』で間違いないです。

ぼく個人としては『ライフアクアティック』なんかは大好きなんですけどね。

 

ウェスの作品群中でもとりわけ取っ付きやすかった前作『グランドブダペストホテル』と比べると『犬ヶ島』はかなり抽象度が高く、寓話性が強いです。

それでも、ウェス・アンダーソンという映像作家の圧倒的な才能を存分に楽しめる作品です。

ウェスの日本文化への敬愛・日本映画へのオマージュ、映画製作へのこだわりや志がひしひしと伝わってきます。

 

鬼才ウェス・アンダーソンが放つ、奇相に満ちあふれたワンダフルな現代の寓話を是非お楽しみください。